KOKORI                 お正月.2002




珊瑚になった日

やっとこの海に、この海深くを潜る事ができる。

文明社会が私に与えたもの・・・・・・・・
偽り、執着、それがどういう事なのか考えてしまう事。
ここに来てそれを捨てるのに時間が掛かった。
地球は青いんだ。そう教えられてほっとする。
青の空間に身をゆだね、すっと眠る日が続く。
ここに居ると、人の心、歌声、全てが青く澄んでいるんだ。
そう確信し、私は本当の自分を取り戻して行く。
偽りと執着がやっと私から消えた時、
もっと青の世界に身を置きたくなる。

「あの、ヤシの木の前にする」
私が沈んで行く。青の空間から青の透明な世界へ私が降りて行く。
ずっと探していた自分の海はどんな海なんだろう。
下を見下ろすと珊瑚が一面に広がっている。
珊瑚に着地すると雲に隠れていた太陽の光が射し込み珊瑚が輝きはじめる。
珊瑚の前に白い砂地の道がずっとずっと遠くまで続いている、
横に細く長く続いている。
白い道の奥にも珊瑚が広がっている。
でもガレキのような珊瑚・・・・・・・・
もっと沈んでいこうか・・・・・・・降りていこうか・・・・・・
「ダイバーなら自然の海に入って自分の海を見つけてほしい・・・・・・・」
ずっと私の頭から離れなかった言葉。
着地した所が私の海だよ。
そう思い直し、
大きなテーブル珊瑚の横の岩にしっかりつかまって、私は珊瑚になった。

私はまた、文明に固められた人間に戻ってしまうのか、少し不安。

珊瑚が太陽の光を浴びると様々な輝きを放つように
私だけの輝き、色を失わずにいよう。
自然にしていればいい、ただそれだけでいい。
その輝きが揺るぎ無いものになった時。
もう一度、私はこの海で珊瑚になる。
この海は人間の偽りや執着が溶けていない純粋な海だから・・・・・・


Kokori

追伸
虹の色は心の色。
虹は私に届いた神様からのメッセージ。